道路使用許可 道交法と申請の流れ解説
道路使用許可について
道路交通法では、本来の通行目的以外における道路使用において、交通の危険、妨害を生じさせる「道路における禁止行為」を規定すると同時に、道路工事や工作物設置、祭礼等のため、公益または社会的慣習上から道路の使用がやむを得ない行為については、一定の要件を満たすことにより警察署長等が必要な条件を付し、道路使用を認めることとなっています。
道路使用の許可権者
使用する道路の部分を管轄する警察署長が許可をだします。
二つの公安委員会の管轄に属する場合は、いずれかの警察署長となります。
道路使用許可の対象
道路使用許可の対象となる行為は以下のように分類されています。
1 道路において工事若しくは作業をしようとする行為(第1号) : 道路工事など
2 道路に石碑、銅像、広告板、アーチ等の工作物を設けようとする行為(第2号):工作部の設置
3 場所を移動しないで、道路に露店、屋台店等を出そうとする行為(第3号): 屋台店の設置
4 道路において祭礼行事、ロケーション等をしようとする行為(第4号) : マラソンやお祭り
その他の具体的な行為は各都道府県公安委員会規則に定めがあります。
道路使用許可の申請者
道路使用許可の申請者は、その行為をしようとする者であり、現実に工事に従事する行為者ではなく、原則として現実に工事等を行なおうとする意思の主体となります。
簡単に言うと、個人、法人は問いませんが、行おうとしている意思を持っている個人又は法人の場合は代表者となります。
工事を行なおうとする者やその工事を請負った(下請け)者が申請者となります。
ですので、工事現場の所長や担当者が申請者になるわけではありません。
ここで注意したいのが、工事で多数業者が関係する場合、工事の一部を請負って全体を把握しえない業者は申請者とはなりません。
実務上、請負人が申請者となる場合は、その道路使用をする工事全部の計画が掌握できる者でなければいけません。
例)
元請 A社 → 下請 B社 →(採掘業者C 建築業D 水道工事業E ガス工事F 塗装業G)
このような流れの場合にC,D,E,F,G業者の工事すべてで道路を使用する場合、申請者は工事すべてを掌握しているA社又はB社となります。
道路使用許可の基準(道路交通法第77条第2項)
道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図る上から以下の基準により判断をします。
許可(審査)の基準
許可の申請を受理した場合、所轄警察署長は、申請された道路工事等について審査の上、次のいずれかに該当するときは、許可をすることとなっております。
つまり、申請書類、図面を完備し、以下の要件を満たすことを証明すれば、許可をおろさなければならないということになります。
・申請に係る行為が、現に交通の妨害となるおそれがないとみとめるとき
・申請に係る行為が、条件を付することにより交通の妨害となるおそれがないと認めるとき
・申請に係る行為が、現に交通の妨害となるおそれはあるが、公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認めるとき
申請書の記載事項の不備や必要書類の添付、必要事項の記載など、担当窓口の警察官と申請内容を確認しながら決定されます。
ですので、警察署の道路使用許可窓口で相談、確認しながら申請手続きを進め、受理してもらえる書類を作成していくことにより申請がスムーズにいきます。
違反等に対する措置
無許可により道路使用をした、または付され条件を違反した場合には次のような処分を受けることになります。
刑事処分
無許可道路使用の工事等:3か月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法第119条第1項第12号の4)
道路使用許可の条件違反:3か月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法第119条第1項第13号)
※違反行為者だけでなく、雇用者等その業務に関して一定の関係にあるものも刑事責任を問われることになります。
行政処分
道路使用の許可を得た者が、許可条件に違反したときや、道路上の危険性から特別の必要が生じたときは、その許可の取消し又は効力を停止することができます。
許可の取消しとは、その時点から許可の効力を将来に向かって失わせるることを言います。
効力の停止は、停止された期間は道路使用をすることができず、工事を行なえば無許可道路使用になります。
停止が解除されれば、再び道路使用できる効力が生じます。
処分の基準は以下となります。
・条件違反により発生させた結果(死亡、重症、軽傷)
・条件違反の重要度(交通の安全と円滑に与えた影響)
・違反条件の程度(遵守の程度)
・条件違反の原因、動機(故意、過失)
道路使用許可・占用許可の申請でお困りの方 ご相談ください
行政書士佐藤浩一事務所
〒802-0018
福岡県北九州市小倉北区中津口1-9-4
道路使用許可の申請
道路使用許可申請書の提出
道路使用許可は申請書の提出により行い、正本、副本の2部の提出を求められます。
県警本部に上申するものについては3部必要な場合もあります。
道路占用許可など、道路管理者の許可がいる工事(足場設置等)は役所提出用として必要に応じ合計3~4部必要な場合もあります。
簡単な工事、足場設置、通行止め等の大掛かりな道路規制が必要ない申請の場合は、事前協議なく申請が受理されることが殆どですが、複雑な申請や大がかりな工事、又は交通規制により交通の妨げが懸念される場合は事前協議が必要になります。
基準としては、1か月以上の交通規制が必要で著しく交通に影響を及ぼすケースや、鉄道、路線バス、高速道路、など他の期間への影響が懸念される場合は協議が必要になります。
道路使用許可の期間
路上工事等の許可期間はおおむね6か月以内が原則となっています。
その工程に応じた必要最小限の期間となりますので、簡易なものでは15日や1か月、8時間以内などケースバイケースです。
許可期間を1日でも過ぎれば無許可道路使用となるので注意が必要です。
工事の工程がずれ、期限が切れてしまう場合は、延長申請をすることができます。
また、2週間の間に3日程度のように、天候や工程に左右される申請の場合であっても、2週間の許可を取得しそのうちの3日程度を言葉添えをすることにより2週間分の許可がおりますので、状況に応じ臨機応変に申請していく必要があります。
申請書につける添付書類
申請書は作成の際の記載事項も少なく、要件を満たす記載をすれば左程難易度は高くありませんが、添付書類にはある程度の労力が必要となります。
一般的な添付書類は以下となります。
・工事概況
・位置図
・断面図
・側面図
・安全対策図(交通規制など)
・現場写真
・使用資材のカタログ
・工事の工程表
道路占用許可が必要な場合は、先に道路管理者(役所)への道路占用許可証や、裏書きの提出が求められます。
それぞれ、要件を満たす内容を記載していないと、再提出や追記の必要がでてきます。
その他以下の書類が状況に応じ必要となるケースがります
・現場案内図
・緊急連絡先体制表
・現況道路規制標識図
・交通量調査表
・使用車両、使用機械一覧表
・工事関係車両の駐車対策表
協議の主体となる道路管理者
高速自動車道 国土交通大臣 (権限代行者 高速道路株式会社)
一般国道 国土交通大臣、都道府県知事
区市町村道 区市町村長
歩行者の保護
現場の規制、足場の設置等の際に歩行者の安全確保(特に高齢者や幼児、車いす利用者)に対する安全を配慮した通路を確保する必要があります。
点字ブロックをふさいだり、車いすの方が安全に通行する幅を保てないような場合は認められないケースがでてきます。
歩行者通路の確保
歩行者通路の幅員は1.5m以上が原則となっています。ただし、交通量が少なく施工内容からやむを得ない場合は0.75m以上の確保で認められることもあります。
車道への切り回し
車道への切り回しは、道路工事現場の状況や施工内容等からやむを得ない場合のほかは極力避けなければなりません。切り回しの距離は50m以内が原則となっております。
やむを得ず切り回しした場合は以下の対策が必要です。
1 切り回し通路の前後、交差点、曲がり角等に「歩行者通路標示板」及び「矢印板」を設置し、歩行者通路と車道を堅個な柵で分離すること
2 切り回し通路の先端部にはクッションドラム等を設置すること
3 切り回し距離がやむを得ず50mを超える場合は、通路の途中に退避場所を設けたり、クッションドラムを設置するなどの対策を施すこと
歩行者を他の歩道等へ迂回させる場合
歩道が全く使えず、他の歩道等へ迂回させる場合は、作業帯の直近の歩道に迂回路標示板を掲示するほか、交通誘導員を配置するようにします。
歩行者通路を車道に切り回す場合
1 未規制の車線幅の幅員が3.5m以上あり、通行車両が余裕をもって通行できること
2 おおむね50mを以内とすること(やむを得ず50mを超える場合は警察署に協議すること)
3 黄色回転灯、クッションドラム、バリケード等の資器材を使用して歩行者の安全を確保すること
4 歩道、車道境界部分に段差がある場合は、切削又は段差解消装置(通路用マット)を設置すること
5 広幅道路では、車両通行車線と歩行者通路との境に二重保安施設を設置するなどして安全対策を施すこと
横断歩道の確保
横断歩道は、分割施工を原則とし、歩行者通路を確保しなければなりません。
やむを得ず横断歩道を閉鎖しなければならない場合は、直近の横断歩道までの距離などを十分に考慮し、歩行者が車道を横断しないよう安全対策や交通誘導員配置をする必要があります。
通路上の安全対策
歩行者通路は、土砂、器具、工具を置かず、整理整頓に努めること
段差がある場合は、鉄板等により段差を解消した上で通路用マットを設置すること
路面上にホースや電源ケーブルがある場合は、覆いをして転倒防止措置を施すこと
視覚障碍者用の点字ブロックをやむを得ず覆い隠す場合は、これに代わるべきものを設置すること
交通誘導
道路を使用して工事等を行う場合、適切な交通誘導が必要となります。交通誘導員の権限は、警察官の交通整理とは異なり、あくまで通行人等の協力を経て安全に誘導するように努めなければなりません。
交通誘導員配置の一般的な基準
1 原則として作業帯の前後に配置
2 交互通行で交通誘導する場合は、上下線にそれぞれ交通誘導員を配置するほか、必要に応じて中間にも配置する
(※詳しくは警察署と協議の上、書類作成をするめることをお勧めします)
3 迂回路を設けて施工する場合は、迂回させる地点に交通誘導員を配置する
4 横断歩道を閉鎖する場合は、横断歩道の両端に交通誘導員を配置する
5 作業帯内に工事車両が出入りする場合は、必ず交通誘導員を配置して誘導する。
※歩行者の多い場所では、車両誘導のほか、歩行者用誘導員の配置が求められることがあります
6 交代の交通誘導員を状況や人数に応じて用意する
7 一般車両通行の交通誘導員と工事車両の出入りを誘導する誘導員は兼用ができません
その他安全対策
建設現場や足場設置などで、上空で作業をする場合、器材の落下防止措置を施す必要があります。
落下防止防護用(ネットや板囲い、アサガオ等)により通行人に危険が及ばないよう対策する
掛出しによって落下防止を施す場合は、歩車道の区分がある道路では路上から3.5m以上、歩車道の区分がない道路では4.5m以上で出幅は1m以内を原則とします
板囲いの出入り口は歩行者の通行を妨げないよう内開きとする
こ道構台を設置する場合
こ道構台とは、歩道の上を完全に覆ってしまう作業用の足場を言います。
こ道構台は、落下防止目的で設けるもに限るとされ、2・7m以上の幅員を有する歩道上に限るとされています。
また歩道幅の3分の2以上の通路幅員を確保しなければなりません。
支柱は、歩道の端に設置し、歩車道境界側の支柱は、交差点、横断歩道、道路標識からそれぞれ5m話す必要があります。
屋根は、車道側が高く落下物が工事側にしか流れていかない方式とし、車道上に突き出す場合は、出幅は0.6m以内、下幅は路上から4.5m以上、根太の下橋は路上から3メートル以上、歩行者が通行できる高さは2.4m以上確保しなければなりません。
また夜間でも視認できるようチューブライドなどの照明施設を設ける必要があります。
あくまで安全対策の為の許可なので、広告などを記載することはできません
まとめ
道路使用許可の申請には、上記に記した代表的な注意事項のほか、事案に応じた要件を満たすことを証明できる書類や図面を作成し、提出する必要があります。
警察署や道路管理者と打ち合わせをし、申請書や図面を作成すれば許可は取得できるようになっています。
詳しくは、管轄の警察署や道路管理者にお問合せください。
当事務所では、面倒な道路使用許可や道路占用許可、その他申請に必要な許可(24条許可や一方通行等交通規制の効力停止申請など)の取得を工事業者様の代わりに申請代行しております。
申請書や図面の作成にかける人手が足りない、平日に申請にいくのが難しいなどあれば、当事務所にお問合せください。
お客様の手間を出来る限り減らし、本業に集中できるようお手伝いさせて頂きます。
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